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今日はなんだか 2010

全く死にたいような気分だったけれど、それはそれでどこか却って清々しい気すらしたのだった。
「より良く生きよ・・・」
風のなか、だれかの声が遠くで聞こえたような気がして男は立ち止まったけれど、誰かがいるはずもなかった。神なんていない。神はもうとっくの昔に死んだのだから。

男はもう若くもなく、おまけにいつもひどく疲れていた。でも何がしかの矜持のようなものが
彼をずっと支えていたから何とか今まで生きてこれた。誰も彼を必要としなかったけれどそれでも平気だった。なにかもっと別の崇高な守るべきものがあるように思えたから。
でも今日、彼の矜持は脆くも崩れ去った。崇高なものなど何処にも無かったのだ。
これは多分よくあること。

男はかつては愛していたはずの妻との新婚旅行のために誂えた、黒いグローブトロッターのトランクに最低限のワードローブとわずかな現金だけを詰めると家を出た。
暖房の電源がちゃんと切れていることを2度確認し、戸締りもいつものように2度確認した。
妻は彼が出ていったことに気づきもしなかったけれど、幼い娘はすぐ気づいた。
「パパいってらっしゃい! お仕事がんばってね」
ドアの向こうからの朗らかな声。そのときだけは心がひどく痛んだ。少しだけ泣けてきた。


空港は雨に煙っていて、大きなガラスのむこうに赤い駐機灯が点滅しているのがぼんやりと見える。
この景色はどこかで見たことがあった。でもそれがどこだったか思い出せない。








2010.01.13(Wed) - 断層


090907






2009.09.08(Tue) - 断層


識域下からの手紙

朝起きて朦朧とする意識の中で、何か画期的な考えに至ったという実感があった。
それはだれかについてのことだったのだと思うのだが、その誰かがわからない。
その「考え」を書きとめなければという不条理な強迫観念に駆られて
起床予定時間5時間前におもむろに起き出して書いたメモの内容。
ちなみに書いた時の記憶はほぼ無く、状況的に自ら書いたのだと推察されるけれど
何について書かれているのか自分でも判然としない。

「1)デジタルメディアによる世界の相対化進行中。
2)孤独というのは、一人のみでいるときには感じずに済むものだ。
通じ合わない相手が近くにいるときこそ孤独感は絶望的に深まる。
手に触れられないものは全て等しく現実感を剥奪されている。いまのきみがまさにそう。
きみなんかよりマウスを通じて触れられるもののほうがまだマシってことさ。」


2009.09.01(Tue) - 私的なメモ


夏が来れば彼女は

どれくらいの時間が経ったのでしょうか。
悪夢のようなひと時が過ぎて起き上がると、まわりは敵と味方が折り重なる死体の山でした。

わたしはこうして生きている。しかもまだHPはかろうじて安全圏のまま。
結果的に稼ぎの殆どを注ぎ込んだこの防具のおかげでした。女の身でありながら「ナイト」という
盾としての生き方を選んだわたしにとって防御力の高い防具は必須だったから。でもこの防具が守れたのは結局はわたしだけでした。わたしは大切な仲間達を守れなかったのです。
「なにが…ナイトか!」
わたしは王立騎士団制式盾を地面に叩きつけました。

血塗れの片手剣を杖にやっとのことで起き上がったわたしの目に映ったのはパーティを組んでいた仲間達の無残な姿でした。その事実を支えきれずにわたしは再度崩れ落ちました。茫然自失というのはまさにこういうことを言うのでしょうか。
つい1時間ほど前までは陽気に軽口すら叩きあっていた仲間の全滅。危うい目には何度もあってきたし、仲間の死も何度も乗り越えてはきた。でも神よ! これはあんまりではないか。わたしはパーティの盾という運命を呪いました。
「…わたしのせいだ」
わたしの嗚咽とつぶやきは誰にも聞かれることなくこの北の荒れた大地に吸い込まれる筈でした。

「…アガット、あんたのせいじゃないよ」
ほとんど消え入るばかりの苦しそうな声。パーティのメイジだったエルフの娘でした。
生きていた! 束の間の喜びは視線に捕らえた彼女の姿と供に深い絶望に変わりました。
彼女は苦しそうに咳き込むと泡立つ血を大量に吐きました。恐ろしいほど大量に!
彼女のローブは鮮血に染まり、彼女の華奢な体を…何本もの矢が貫いていたのです。
わたしは駆け寄ると彼女を抱き起こしました。たったそれだけで彼女の体からは取り返しのつかないくらいの血が流れてしまう…。

長いこと彼女と共に生き抜いてきたのです。
彼女の詠唱をわたしが衛り、彼女の魔方陣がわたしを護る。
メイジとして優秀だった以上に彼女には何度も救われてきました。
人間とエルフという種族の違いはあったものの、彼女の屈託の無さや明るさ、歳の近さも手伝い、
わたし達は親友といっても差し支えないくらいの仲でした。

若きエルフの娘は体中から血を流しながら静かに言いました。
「…だれも・・・わるくなんかない。悪いのはこの世界だ。
まだ10代の何も知らないわたしたちが殺したり殺されたりするこの世界が悪いんだ」
「もうしゃべらないで!」
わたしは彼女を掻き抱いて涙を流しました。
「これを・・・」
彼女は握り締めていた血塗れのウォンドをわたしに差し出すと、
「ああ・・・。結局『プレスリーvsミイラ男』見れなかったな」
と微笑んで、そのまま眠るように息を引き取りました。


彼女の故郷だった村の遺族に遺品のウォンドを届けることができたのはそれから半年後のことでした。彼女は小さな部族の族長の娘でした。彼女に似て端正な顔立ちの族長はわたしに深々と頭を下げると言いました。
「これはあなたが持っていてやってはくれませぬか」

村を出立する日、族長は最初の峠までわざわざ見送りにきてくれました。
「これからどうなさるおつもりか?」
わたしは少し考えました。でも本当はとっくに決めていたのです。
「もう戦場にもどるのはやめようと思います」
族長はうなずきました。
「そしてわたしも…。わたしも『プレスリーvsミイラ男』のDVDを探してみようと思っているんです」
族長は寂しそうに微笑むと言いました。
「貴女もまた酔狂な。それは大変な苦難の道になるかもしれませぬぞ」
「元より覚悟の上です。それにわたしは騎士の道を選んだ者ですから」

今日もわたしは荻窪のTUTAYAをさまよいます。
いつか墓前で彼女に『プレスリーvsミイラ男』の筋書きを語って聞かせるつもりです。
でもこれがなかなかないんだ。レンタルには。
収益性低そうだもん…。
え? 買えばいいじゃんですって? 
自分で買うのはちょっと…。
<完>







2009.08.24(Mon) - シリーズ、妄想


090817



将来の夢
3ね2くみ あがっと らて子

生まれ変わったらこういう素晴らしいトラックを作る人になりたいです。
ところで実家に放置中のMPCくん、お元気ですか?


2009.08.18(Tue) - ときめいた☆





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